僕ではないぼく

二十歳の時に

僕はぼくを失った

 

まるで御伽話のように

魂を抜かれてしまった

 

それまで積み重ねてきたもの

培ってきたもの

 

すべてを失った

 

なぜ

どうして

 

悪魔に魂を売り渡し

僕の魂をその悪魔に差し出した

その女は頑なに口を噤む

 

僕は永遠にぼくを失い

女は永遠を手に入れた

 

永遠を謳歌する女

その生贄の僕

 

悪魔に差し出すために

二十年も育んできたのですか?

 

僕は憤りを禁じえません