風の声 ひとの心

強い風が

窓の隙間から唸り声を上げる

 

子供の頃

夜中に木々の間を通り抜ける

強い風の声が怖くて眠れなかった

 

今も

風の声を聞くたびに

あの頃を思い出す

 

でも

 

今、一番怖いのは

世のひとの心

 

かもしれない

 

いつからか

風より

ひとの心が怖くなった

 

嵐の風が

耳元で唸り声をあげる

 

ひとの心は

胸元でぼくの心を切り刻む

 

今夜もぼくは

恐怖におののき

頭から布団をかぶる